N8N活用の極意: AIエージェントで業務を自動化する8つの事例

目次

1. LLMルーティングエージェント

LLMルーティングエージェントは、ユーザーの質問内容に応じて最適な言語モデル（LLM）を選択し、より正確な回答を提供するシステムです。例えば、リアルタイムデータが必要な質問には「Perplexity」、高度な推論が必要な場合は「GPT-4」や「Claude」といった選択肢から自動で判断します。

このシステムでは、各AIモデルの強みを定義しておくことで、質問内容に応じて最適なモデルを選択します。例えば、Perplexityはウェブ検索能力、GPT-4は高度な推論能力、Claudeは長文処理能力に優れているといった特性を記述しておくことで、より効率的な情報提供が可能になります。

2. ディープリサーチエージェント

ディープリサーチエージェントは、指定したトピックについて詳細な調査を行い、引用付きのPDFレポートを自動生成します。このエージェントは学術研究者、放送局、一般ユーザーなど様々な人々に活用されています。

例えば「9日間の水断食と体の再生」というトピックを入力すると、約6分30秒で11ページのレポートが生成されます。各情報には出典が明記され、クリック可能なリンクとして表示されるため、情報の信頼性を確認することができます。

このエージェントは、クエリ作成、リサーチマネージャー、アウトライン作成、トピック選定など複数のステップで構成されており、Perplexityなどの検索エンジンを活用して情報を収集します。研究内容はAirtableデータベースに保存され、HTMLスニペットや引用などの生データも参照可能です。

3. YouTube動画対話エージェント

YouTube動画対話エージェントは、指定したYouTube動画の内容について質問できるシステムです。動画の文字起こしを自動的に取得し、ベクトルストアに保存することで、数時間分の動画内容から特定の情報を素早く抽出できます。

このシステムは2つの自動化プロセスで構成されています：

1. YouTubeのURLから文字起こしを取得する自動化
2. 取得した文字起こしをベクトルストアに処理・アップロードする自動化

ベクトルストアとは、AIがPDFなどのドキュメントを参照するための効率的なシステムで、通常のGoogleドライブよりも高性能です。ドキュメントを小さなセグメントに分割して保存するため、質問に関連する部分だけを取得できます。

4. データ分析エージェント

データ分析エージェントは、スプレッドシートやデータベースのデータを分析し、グラフやチャートを自動生成するシステムです。例えば、財務データの収益と純利益を比較するチャートや、利益率の推移を示すグラフなどを、自然言語での指示だけで作成できます。

このエージェントはQuick ChartのオープンAPIを活用しており、Google Sheetsから大規模なデータベースまで接続可能です。対話形式でデータの分析ができるため、専門知識がなくてもデータから洞察を得ることができます。

さらに複雑な分析も可能で、例えば「収益と純利益に基づいて、利益率はどうなっていますか？」という質問に対して、自動的に利益率を計算しグラフ化することができます。後半で紹介する大規模データベース対話エージェントと組み合わせれば、30万件以上のレコードにも対応可能です。

5. データベース作成エージェント

データベース作成エージェントは、自然言語での指示に基づいて、Airtableなどのデータベースを自動的に作成するシステムです。データベースの目的を説明するだけで、適切なテーブル構造、フィールド、選択肢などを設定してくれます。

例えば「工事プロジェクトの進捗状況と期限を追跡するデータベースが欲しい」と入力するだけで、ジョブステータス（未着手、進行中、レビュー中、完了）やプロジェクト期限などの項目を持つデータベースが数秒で作成されます。

6. ミーティング管理エージェント

ミーティング管理エージェントは、カレンダー管理、ミーティングの調整、Zoom会議の作成、メール送信などを一括して処理するシステムです。オーケストレーターエージェントが中心となり、各ツール（カレンダー、CRM、Zoom、メール）と連携して要求を処理します。

例えば「明日の予定は何？」と聞くと、Googleカレンダーを検索して予定リストを返します。「明日の5:30PMにノーランとマラソントレーニングについて1時間のZoomミーティングを作成して」と指示すると、自動的に予定を確認し、重複があれば代替時間を提案します。

このシステムの強みは、各ツールが独立したワークフローとして動作し、オーケストレーターがそれらを適切に連携させる点にあります。予定の重複を自動的に検出し、代替案を提案するインテリジェントな調整も可能です。

7. バイラルショート動画生成エージェント

バイラルショート動画生成エージェントは、アイデア出しからスクリプト作成、音声合成、画像生成、編集、YouTubeへのアップロードまでを自動化するシステムです。Telegramなどのメッセンジャーを通じて対話的に利用できます。

このエージェントは3つの主要ステップで構成されています：

1. アイデアチェック – 動画のアイデアを提案し、ユーザーの承認を得る
2. 動画生成 – スクリプト作成、音声合成、画像生成、動画編集を実行
3. アップロードチェック – 完成した動画をYouTubeにアップロードするか確認

例えば「コーヒーについての動画アイデアを生成して」と指示すると、システムはいくつかのアイデアを提案し、選んだアイデアに基づいて動画を作成します。「ラテアートのための完璧なエスプレッソブレンドに関するヒント」などのトピックで数分の高品質なショート動画が自動生成されます。

8. データベース対話エージェント

データベース対話エージェントは、大規模なデータベースと自然言語で会話し、特定のデータポイントや傾向を抽出するシステムです。例として、睡眠データを追跡するPostgreSQLデータベースとの対話が紹介されています。

このシステムでは、以下のようなデータテーブルが活用されています：

• 心拍数データ – 5分ごとの記録（約22,000レコード）
• 心拍変動（HRV）データ – 5分ごとの記録（約23,000レコード）
• 動きデータ – 30秒ごとの記録（約225,000レコード）
• 睡眠セッションと睡眠ステージのデータ

このエージェントは、データベーススキーマを検索するツールと、実際のクエリを実行するツールの2つで構成されています。多数のタイムスタンプを含む大規模データの管理に最適で、特定の時点のデータや長期的な傾向を簡単に分析できます。

9. 不動産業界での活用方法

これまで紹介したn8nのAIエージェント事例は、不動産業界にも様々な形で応用できます。ここでは、特に効果的な活用方法をご紹介します。

物件データ分析と市場予測

データ分析エージェントとデータベース対話エージェントを組み合わせることで、過去の取引データから市場動向を予測し、最適な販売戦略を立案できます。例えば「過去6ヶ月の〇〇エリアの平均坪単価推移をグラフ化して」という指示だけで、視覚的なデータ分析が可能になります。

お客様対応の自動化

LLMルーティングエージェントを活用することで、お問い合わせ内容に応じて最適な回答や担当者への振り分けを自動化できます。物件情報の照会には最新データベースを検索し、法律相談には専門知識を持つAIモデルを使用するなど、状況に応じた対応が可能です。

物件資料の自動生成

ディープリサーチエージェントを応用して、物件情報、周辺環境、交通アクセス、学区情報などを自動収集し、プロフェッショナルな物件資料を短時間で作成できます。引用付きの信頼性の高い資料により、お客様の意思決定をサポートします。

物件プロモーション動画の自動作成

バイラルショート動画生成エージェントを活用して、物件の魅力を伝えるショート動画を自動作成できます。物件の特徴を入力するだけで、プロフェッショナルな映像、音声、テキストを組み合わせた魅力的な動画が生成されます。

顧客管理とアポイント調整の効率化

ミーティング管理エージェントとデータベース作成エージェントを組み合わせることで、顧客情報の管理から内見予約の調整まで一元化できます。「明日の午後に〇〇様と△△物件の内見アポイントを入れて」という指示だけで、スケジュール確認から案内メール送信までを自動化できます。